- HarkはシリーズAで7億ドルを調達し評価額60億ドルを達成。Nvidia・AMD・ARK Investなど半導体・金融大手が投資家に参加した
- テキスト・画像・音声を統合するマルチモーダルAIプラットフォームと専用ハードウェアを2026年夏以降に順次発表予定
- 創業者はFigure.AIのBrett Adcock氏。従業員70名の段階で超大型調達を成功させた点が業界で注目されている
7億ドル調達の背景と規模
AIスタートアップのHarkは2026年5月、シリーズAラウンドで7億ドル(約1,000億円)の資金調達を完了したと発表しました。調達後の評価額は60億ドルに達し、リードインベスターにはParkway Venture Capitalが入りました。NvidiaやAMD Ventures、ARK Invest、Qualcomm Ventures、Salesforce Ventures、Intel Capital、Greycroft、Prime Movers Labといった顔ぶれで、半導体・金融・テクノロジーの各分野を代表する投資家が参加しています。
同社の現在の従業員数はわずか70名です。製品の正式発表前にシリーズAでこれほどの規模を調達したスタートアップは極めて少なく、市場からの期待の大きさを示す事例として業界で受け止められています。
「万能AIインターフェース」の構想
Harkが開発するのは、既存のアプリやデジタルサービスと連携して動作する「ユニバーサルインターフェース(万能AIインターフェース)」と呼ばれるエージェンティックAIシステムです。「エージェンティック」とは、ユーザーの指示を受けてAIが自律的に複数の操作を連続して実行する仕組みを指します。
製品の中核となるのは、テキスト・画像・音声など複数の情報形式を同時に処理できるマルチモーダルAIモデルです。マルチモーダルとは、テキストだけでなく画像や音声といった異なる形式のデータをひとつのAIがまとめて理解・生成できる技術を指します。デザイン責任者のAbidur Chowdhury氏(元Apple)は「現在のAIツールの多くはソフトウェア開発者向けに作られており、一般ユーザーが日常で使えるAI製品はまだ不足している」と述べており、Harkは開発者以外の層にも実用的なAIを届けることを目標に掲げています。
ロードマップとしては、2026年夏にマルチモーダルモデルを初回リリースし、その後に専用ハードウェアデバイスを展開する計画です。製品の具体的な名称や仕様については現時点で非公開とされています。

創業者Brett Adcock氏の経歴
Harkを立ち上げたBrett Adcock氏は、2021年にヒューマノイドロボット企業Figure.AIを設立した経営者です。Figure.AIはBMW・OpenAI・Microsoftから出資を受け、工場向けの人型ロボットを開発してきました。Adcock氏はFigure.AIに先立って電動航空機企業Archerも共同創業しており、シリアルアントレプレナー(連続起業家)としての実績を持ちます。
Hark設立にあたりAdcock氏は自ら1億ドルを出資し、Nvidia製のB200 GPUを搭載したデータセンターを構築しています。基盤となるAIモデル開発に必要な計算資源の整備を先行させることで、製品開発サイクルを短縮する狙いがあると見られます。デザイン責任者にApple出身のAbidur Chowdhury氏を迎えた点は、製品のユーザー体験を重視する姿勢を示しています。
AIエージェント市場への影響
今回の大型調達は、AIエージェントおよびAIデバイス分野における競争激化の一端を映し出しています。NvidiaはAIエージェント専用CPU「Vera」を発表し、2,000億ドル規模の新市場の開拓を目指していますが、そのNvidiaがHarkにも出資しており、両社の協力関係が製品開発に影響を与えると見られます。
Harkが掲げる「既存サービスをつなぐ万能AIインターフェース」という方向性は、AppleやGoogleが進めるOSレベルのAI統合とも競合しうるものです。専用ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた戦略は、既存プラットフォームに依存しない独自のユーザー体験を生み出す可能性があると業界では分析されています。2026年夏のモデル公開と、それに続くハードウェア発表がHarkの実力を測る最初の機会となります。
