※ AIによる要約
米メリーランド大学をはじめとする研究チームが発表した新たな研究によると、健康的な生活習慣が脳の加齢を遅らせる可能性があることが明らかになりました。この研究では、アメリカ心臓協会が提唱する8つの健康指標「Life’s Essential 8(LE8)」の順守が、脳の白質の加齢に与える影響を調査しました。白質は脳内の各部位をつなぐ神経線維の束であり、その状態は認知機能とも深く関連しています。
LE8は、健康な食事、定期的な運動、禁煙、適切な睡眠時間という生活習慣の要素と、BMI、コレステロール値、血糖値、血圧といった健康指標から構成されています。研究では、イギリスのバイオバンクデータを活用し、40歳から69歳の約1万9000人の脳白質を対象に、磁気共鳴画像法(MRI)と機械学習を用いて脳年齢を予測。そして、実際の年齢との差を「脳年齢ギャップ」として算出し、LE8スコアとの関連を分析しました。
結果、LE8スコアが高いほど脳年齢ギャップが小さいことが確認されました。特に、LE8スコアが10点上がるごとに、アルツハイマー病の主要な遺伝的リスク因子「APOE4」を持たない人々では脳年齢が124日若くなり、APOE4保有者では84日若くなるという統計的データが得られました。また、全てのLE8指標が脳年齢ギャップに寄与していることも分かりました。
項目 | 詳細 |
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LE8の構成要素 |
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研究方法 |
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LE8スコアと脳年齢ギャップの関係 |
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全てのLE8指標 | 脳年齢ギャップに寄与することが確認 |
50代のグループ | LE8スコア上昇が脳年齢ギャップの改善に特に大きく影響 |
APOE4保有者の傾向 | 効果が相対的に低下する傾向 |
女性の特徴 | 40代のAPOE4保有者でLE8スコアと脳加齢に明確な相互作用を確認 |
さらに50代のグループでは、LE8スコアの上昇が脳年齢ギャップの改善に特に大きく影響することが示されています。一方でAPOE4保有者では、この効果が相対的に低下する傾向が見られました。女性の場合、40代のAPOE4保有者でLE8スコアと脳加齢との間に明確な相互作用が認められました。
研究チームはこれらの結果から、遺伝的要因や性別に基づいた認知症予防の個別戦略が重要であると指摘しています。具体的には、APOE4保有者に対して、より早期の積極的介入が必要である可能性を強調しています。