- 月間処理トークン数が3200兆(3.2クアドリリオン)に達し、2025年比7倍という急拡大でAI大規模採用の実態を数値で示した
- 24時間稼働の個人AIエージェント「Gemini Spark」や検索・地図・動画への常駐エージェントなど、日常業務を自動化する製品群を一挙発表
- 第8世代TPUの発表と年間資本支出1800億ドル超への拡大で、Googleのインフラ投資規模が2022年比6倍に達した
AIスケールを示した3つの数字
2026年5月のGoogle I/Oで、CEO Sundar Pichaiは「エージェント型Gemini時代に突入した」と宣言しました。その根拠として示されたのが、月間処理トークン数の急拡大です。2024年5月の97兆から2025年5月には480兆へ、そして2026年5月時点では3200兆(3.2クアドリリオン)に達しており、1年間で約7倍というペースで増加しています。
ユーザー数の面でも成長は顕著です。GeminiアプリのMAU(月間アクティブユーザー数)は1年間で400万人から900万人へと倍増し、Search AI Overviewsは25億人が毎月利用する機能になりました。開発者向けAPIは月間850万人が利用しており、Geminiエコシステムが企業・個人双方で定着しつつある状況が見てとれます。

エージェント製品の全体像
今回のI/Oで最も具体性が高かったのが、エージェント型製品群の発表です。個人向けの「Gemini Spark」は、クラウド上の仮想マシンで24時間稼働し、メール管理、チャット対応、Chromeでのウェブ操作を自律的に処理します。ユーザーが席を離れている間もバックグラウンドで作業を継続できる点が、従来のAIアシスタントとの大きな差異となります。
検索分野では「Information Agents in Search」を導入します。ユーザーが定義した条件に沿って情報を自動収集し、必要になったタイミングで通知する仕組みです。「Ask Maps」「Ask YouTube」では複雑な質問にも対応し、YouTubeでは動画内の関連箇所へ自動でジャンプする機能も加わります。また「Docs Live」は音声で考えをまとめながら自動でドキュメントを生成するもので、夏季のロールアウトが予定されています。
モデル面では、Gemini 3.5 Flashが競合比4倍の高速処理と半値以下のコストを実現しており、エージェント処理を支える経済的な基盤として機能します。加えて、テキスト・画像・動画を入力として任意の形式で出力できる「Gemini Omni Flash」も同日より提供が開始されました。
インフラへの大規模投資
AI処理を支えるハードウェアとして、TPU(Tensor Processing Unit)の第8世代が発表されました。訓練向けの「TPU 8t」は前世代比3倍の演算能力を持ち、推論向けの「TPU 8i」はエネルギー効率が2倍に向上しています。自社設計のカスタムシリコンで性能とコストを両立する戦略は、外部チップへの依存を減らす意味合いも持ちます。
設備投資の規模も急拡大しています。2022年時点で310億ドルだった年間資本支出は、2026年には1800億〜1900億ドル規模まで拡大する見込みです。約6倍の投資規模は、生成AIのインフラ整備が実験フェーズから本格稼働フェーズへと移行したことを示しています。
AI安全性への取り組み
大規模なAI展開に伴うコンテンツの真正性確認にも取り組んでいます。Googleが開発したデジタル透かし技術「SynthID」はすでに100億枚以上の画像・動画に適用されており、今回OpenAI、Kakao、Eleven Labsが新たに採用を開始しました。SearchとChromeにはContent Credentials検証が統合され、AI生成コンテンツの識別がより広い範囲で可能になります。
Pichaiは「エージェント型AIは利便性と責任の両立が不可欠」と述べており、機能拡張と並行して透明性の仕組みを広げる姿勢を明確にしました。同社が現在保有する13の製品はそれぞれ10億人以上のユーザーを抱えており、AIエージェント機能を段階的に展開する際のリーチの大きさが際立ちます。
