- Bloombergのマーク・ガーマンが2026年6月27日付で、Apple副社長ポール・ミードのOpenAI移籍を報道
- ミードはVision ProとAI搭載スマートグラスの開発を統括した経験を持ち、ジョニー・アイブとのAIデバイス開発に実務知見をもたらす
- Apple社内のハードウェア部門再編による人材流出が続く中、AI企業のデバイス開発をめぐる人材獲得競争が本格化している
移籍の概要と背景
2026年6月27日、Bloombergのマーク・ガーマンが報じたところによると、Apple副社長でVision Proの開発を統括してきたポール・ミードが、OpenAIのハードウェアチームへ移籍する見通しとなりました。実際の移籍時期については明らかにされていませんが、報道では近く正式発表がなされる可能性が示唆されています。
ミードはVision Proヘッドセット開発の中心人物であり、来年の発売が予定されているAppleのAI搭載スマートグラスの開発にも携わっていた人物です。XR(拡張現実)デバイスの量産経験と、複雑なサプライチェーン管理のノウハウを兼ね備えており、ソフトウェアを主軸としてきたOpenAIにとって、こうした実務経験は外部から獲得するほかない貴重な知見といえるでしょう。
移籍の直接的な背景には、Apple社内のハードウェアエンジニアリング部門における組織再編があります。上位職への昇進が取り沙汰されるジョン・ターナスをめぐる動きの中で、複数の副社長が「降格されたと感じた」と報じられており、ミードもその一人とみられています。Vision Proが商業的に苦戦を続けてきた状況も、こうした組織内の変化を後押ししたとみられます。
OpenAIのデバイス戦略
OpenAIはここ数年、ジョニー・アイブとの共同AIデバイス開発を進めています。アイブはAppleで20年以上にわたりiPhone、iPad、Macのデザインをリードしてきたデザイナーであり、2019年のApple退社後はAI分野への関与を深めてきました。サム・アルトマンCEOはこの新デバイスについて「iPhoneよりも穏やかで落ち着いた体験を提供する」と述べており、既存のスマートフォンとは根本的に異なる形態の製品を構想しています。
ただし、デバイスの具体的な仕様や発売時期については、昨年秋の報道でも「詳細の確定に苦労している」と伝えられており、依然として不透明な状況が続いています。そうした段階でVision Proを実際に量産へ導いた経験を持つミードを迎えることは、プロジェクトの具体化に向けた大きな一歩となるでしょう。
チップからデバイスへの垂直統合
OpenAIはすでにBroadcomと共同でLLM推論に特化したカスタムチップの開発を進めており、「Jalapeño」と呼ばれるプロジェクトでNVIDIAへの依存度低下を図っています。チップ設計から端末デザイン、そして製造ノウハウまで、ハードウェア能力を体系的に整備しようとする姿勢は、純粋なソフトウェア企業の枠を超えた野心の表れです。
Apple側にとっては、次世代ウェアラブル戦略の要を担う人材の流出として無視できない出来事です。現在AppleはMetaのRay-Banシリーズに対抗すべく、より手頃な価格帯のスマートグラスを開発中とされており、そのロードマップへの影響が懸念されます。
今回の移籍は、ハードウェアに精通した人材をめぐる争奪戦がAI業界の主要テーマになりつつあることを示しています。Googleのスマートグラス開発やMetaのAIウェアラブルへの積極的な投資も同じ方向性を示しており、物理デバイスとAIの融合を見据えた競争は今後も激しさを増すとみられます。
