- 米国の求職者の63%がAI面接を経験済み。半年前に試験運用段階だったAI面接官が本格的な普及段階に移行した
- AI面接経験者の70%が事前告知なしにAI面接と知り、「透明な運用が実現している」と感じる人はわずか21%にとどまる
- 求職者の75%が法的開示義務化を支持し、46%は人間面接を選べるオプションを最大の改善要望として挙げた
63%が経験済み、普及加速の実態
採用管理クラウドサービスを手掛けるGreenhouse Softwareが2026年5月6日に発表した「Greenhouse 2026 Candidate AI Interview Report」によると、米国・英国・アイルランド・ドイツ・豪州の求職者2950人を対象とした調査において、米国人回答者の63%が採用過程でAIによる面接を経験していた。同社によれば、半年前は試験運用段階にあったAI面接官が、ある程度の普及段階に達したことを示す数字だという。
AI面接の拡大を受け、求職者の感情は複雑だ。41%が「AIによって求職活動全体のストレスが増した」と回答する一方、「AIの関与を現状よりも減らしてほしい」という声は19%にとどまった。AI面接そのものへの拒絶感は少数派であり、問題の本質は導入の仕方にあることが浮かび上がっている。
「知らないうちにAI面接」が70%
最も深刻な課題として浮かび上がったのが、透明性の欠如だ。AIによる評価を体験した米国人求職者のうち、「面接開始前にAIの利用が明確に開示されていなかった」とした人は70%に上る。さらに20%は「AIの関与を面接が始まってから初めて知った」と回答している。
「責任ある透明な運用が実現している」と考える米国人回答者は21%にとどまる。AI活用を受け入れる姿勢を持ちながらも、現状の運用への不満が積み重なっている実態が見える。
求職者が求める改善と法規制
企業に対する最大の改善要望は「AI面接官の代わりに人間との面接を選べるオプション」で46%を占めた。続いて「AIが何を評価しているかの明確な説明」(39%)、「最終的な意思決定の前に、AIの判定を人間がレビューする」(38%)が並んだ。AI活用そのものへの反対ではなく、選択肢と説明責任を求める声が主流だ。

法的な義務付けを求める声も顕著だ。「AIによる評価の利用を法的に開示義務化すべきだ」とした人が57%、「AIが最終判断に強く関与する場合のみ義務化すべきだ」とした人が18%で、合計75%が何らかの法的開示義務化を支持している。企業がAIを採用活動に取り入れる動きが加速する中、Milken会議の議論でも示されたように、AI活用における透明性とガバナンスの整備は業界横断の課題になりつつある。
応募辞退と企業評判へのリスク
採用企業にとって、AI面接の運用は無視できないリスクを伴う。「AIによる面接が採用過程に含まれていることを理由に応募を辞退した経験がある」と答えた米国人回答者は38%に達した。「AIによる面接が必須の場合は辞退する」とした人も12%いる。
辞退を促した具体的な運用方法としては、「人間が立ち会わずに録画された動画をAIが採点」(33%)が最も多く、「企業がAI利用を開示しない」(27%)、「面接中のAIによる監視」と「必須のAI主導の面接」(各26%)が続いた。企業の評判への影響も数字に表れており、AI面接を「良い体験だった」と答えた人の38%が「企業への印象が改善した」とした一方、「悪い体験だった」と答えた人の34%が「企業への印象が悪化した」と回答している。
AIでも偏見は解消されない
AI面接官の普及に期待される側面の一つが、人間の面接官が持つ偏見の排除だ。しかし調査結果は、その期待を裏切るものとなっている。「面接官による年齢差別を感じた」と回答した割合は、AI面接官の場合も人間の面接官と同じ36%。「人種や民族による差別を感じた」もいずれも27%で一致した。性別、職歴の空白、言語のアクセントに関する偏見でも同様の傾向が見られた。
Greenhouse CEOのダニエル・チェイト氏は、AI面接の可能性を認めながらもその限界を率直に指摘する。「AIとの15分間の会話で求職者が自分自身を示せるなら、キーワードを詰め込んだ履歴書より『入り口』として優れている。だが、それは機能不全に陥っている採用プロセスにAIを重ねるだけでは実現しない。より良いプロセスを作ることでしか実現できない」と述べた。
今回の調査が示すのは、AI面接の導入そのものより、事前の開示・選択肢の確保・人間によるレビューをどう設計するかが、求職者の信頼と応募行動を左右するという現実だ。
