- パランティアのカープCEOがCNBCで、OpenAI・Anthropicは顧客の知財を競合強化に流用していると名指し批判
- NVIDIAとの提携を6月29日に発表。Nemotronをベースにエアギャップ環境で顧客がモデルを完全所有できる構造を提示した
- 国家安全保障でのAI外部依存を「シリコンバレーへのアウトソーシング」と批判し、自社インフラでの学習・運用を訴えた
CNBCで競合2社を名指し批判
パランティア・テクノロジーズのアレックス・カープCEOは、2026年7月1日のCNBCインタビューで、OpenAIのサム・アルトマン氏とAnthropicのダリオ・アモデイ氏を名指しで批判しました。
カープ氏が問題視したのは、企業顧客がクラウド型AIサービスへ業務データを提供することで、そのデータが外部AIプロバイダーのモデル学習に利用され、結果として顧客自身の競合を強化してしまうという構造的な問題です。「トークンに時間を浪費して何の価値も得られず、知的財産だけを奪われる」と述べ、現行のトークン課金モデルが顧客側に不利な取引であると主張しました。
さらに「モデルが完全かつ無責任に過大評価されて売られてきた」とも語っています。トークン課金モデルについては「明日10億ドル稼がせられるなら『稼がせる分の30%が欲しい』と言うはずだ」と述べ、現行の料金体系が顧客の事業成果に連動していないと指摘しました。
NVIDIAとのエアギャップ提携
批判発言に先立ち、パランティアは2026年6月29日にNVIDIAとの提携を発表していました。提携の核心は、NVIDIAのオープンモデル「NVIDIA Nemotron(ネモトロン)」をベースに、エアギャップ環境(外部ネットワークと物理的に遮断した構成)でカスタムモデルを構築・運用する仕組みです。
このアーキテクチャでは、顧客企業がモデルの重み(ウェイト)を自社インフラ上で管理します。学習データが外部サーバーへ送信されないため、入力した情報がプロバイダー側に蓄積されることはありません。カープ氏は「オープンモデルをフロンティア級まで引き上げることは可能で、ウェイトは顧客がコントロールする」と説明しています。
Databricksが「評価とガバナンスが次の壁」と指摘するように、エンタープライズAIの課題はモデルの性能だけでなく、誰がデータとモデルを管理するかという問題に移りつつあります。パランティアとNVIDIAの提携は、その問いに対する一つの回答を示しています。
「生産手段の所有」をめぐる論点
カープ氏はこうした懸念を企業向けにとどめず、国家安全保障の領域にも広げています。シリコンバレーの企業が管理するモデルを国防に利用することについて、「この国の戦場をシリコンバレーのコンセンサスにアウトソーシングするのは狂気だ」と述べています。
パランティアは米政府機関や軍への分析ソフトウェア提供で実績を持つ企業です。今回の提携では政府機関向けの「フロンティア級」カスタムモデル構築に特に注力するとしており、データ主権が求められる用途への対応を重点的に訴求しています。
カープ氏が繰り返す「生産手段の所有」という表現は、AIモデルとその学習データを外部に委ねることへの根本的な問い直しを含んでいます。フロンティアモデル提供企業と、顧客データの管理権をめぐる対立軸は、エンタープライズAI市場での競争を一層鮮明にしています。