- Google傘下のCapitalGが主導するシリーズBで1.13億ドルを調達し、評価額が前年比2倍超の13億ドルへ到達
- 週間処理トークンが直近6か月で5兆から25兆へ5倍に増加し、グローバルユーザーは800万人に拡大
- Anthropic・OpenAI・Google等400以上のモデルへ単一APIでアクセスできるプラットフォームの需要が急拡大
シリーズBで1.13億ドルを調達
AIモデルへのアクセスを一元化するプラットフォーム「OpenRouter」が、2026年5月にシリーズBラウンドを完了し、1.13億ドル(約170億円)の資金を調達した。ラウンドをリードしたのは、GoogleのAI投資を担うAlphabet傘下のベンチャーファンド「CapitalG」だ。
2023年創業のOpenRouterにとって、今回は前回のシリーズA(2025年6月、4,000万ドル調達)からわずか1年での大型ラウンドとなる。シリーズAにはAndreessen Horowitz(a16z)とMenlo Venturesがリードし、Sequoiaも参加していた。有力VCが連続して投資する動きは、AIインフラ市場への強い期待を示している。
評価額が1年で2倍超に上昇
今回の調達によるポストマネー評価額は約13億ドルで、前回のシリーズA時点での約5.47億ドルから1年で2倍以上に引き上げられた。生成AI関連のインフラ企業の中でも急速な上昇であり、マルチモデルプラットフォームへの市場の注目が数字として表れた形だ。
調達した資金は、処理インフラの拡充と新機能の開発に充当する方針とされている。処理量の急拡大に伴うシステム増強と、企業向け機能の拡充が当面の優先事項となる見通しだ。
6か月でトークン量が5倍に拡大
同社が開示した成長指標は急拡大ぶりをよく示している。2025年末時点では週5兆トークンだった処理量が、2026年5月時点で週25兆トークンへと5倍に増加した。月間換算では100兆トークンを超える水準であり、プラットフォームの実利用が短期間で大きく伸びていることがわかる。
登録ユーザー数はグローバルで800万人に達しており、個人開発者から大規模な企業まで幅広い層が活用している。企業向けの利用が売上の大きな割合を占めるとされており、法人需要の高まりが全体の成長を牽引している。

400以上のモデルへ単一APIでアクセス
OpenRouterのコアサービスは、複数のAIプロバイダーのモデルへ統一されたAPIで接続できる「AIゲートウェイ」だ。現在対応するモデル数は400以上で、Anthropic(Claude)、OpenAI(GPT・o系列)、Google(Gemini)、xAI(Grok)、DeepSeekなど主要プロバイダーを幅広くカバーしている。
開発者はOpenRouterのエンドポイントに接続するだけで、これらのモデルを自由に切り替えながら利用できる。各プロバイダーとの個別契約や認証情報の管理が不要になるため、マルチモデル戦略を取る企業の開発コストを削減できる点が支持を集めている。料金体系はトークン従量制で、OpenRouterはプロバイダーへのパススルー料金に一定のマージンを上乗せする形で収益を得ている。
マルチモデル戦略が浸透する背景
今回の調達が示す重要な業界トレンドは、特定のAIベンダーへの依存を避ける「マルチモデル戦略」の普及だ。GPT-4の登場以降、多くの企業がOpenAIのモデルを主力として採用してきたが、AnthropicやGoogleが競合モデルを相次いで投入し、DeepSeekが低コストモデルで台頭したことで、タスクに応じてモデルを選び分ける動きが広がっている。
Gemini・Claude Code・Codexを全社展開する5つのポイントが示すように、企業のAI導入では複数のモデルやサービスを使い分ける場面が増えている。OpenRouterはその接続レイヤーとして機能し、モデルの切り替えや比較を簡易化する。新しいモデルが公開された際にも、OpenRouterが対応すれば既存のコードを変更せずに試せる点が開発者から評価されている。
CapitalGの戦略的な位置づけ
CapitalGがリードしたことには戦略的な背景がある。Google自身もGeminiシリーズをOpenRouterで提供しており、同社への投資はGoogle製モデルの外部流通を促進する側面を持つ。ただし、OpenRouterはあくまでベンダー中立なプラットフォームであり、特定プロバイダーのモデルを優遇する仕組みにはなっていない。
AIモデルの多様化が続く中、モデル選定の複雑さを吸収するインフラ層への需要は引き続き高まると見込まれる。週25兆トークンという処理量が示すように、OpenRouterはすでに相当な規模の流量を担うプラットフォームへと成長しており、その位置づけは今後さらに重要になると予想される。
