AIの主戦場シフトか？「エッジAI」の秘める新たな成長性

AIの世界で新たな潮流が生まれつつあります。それは、クラウドコンピューティングを中心としたAI開発から、端末での処理を重視する「エッジAI」への移行です。

ChatGPTの登場以来、巨大IT企業はクラウド基盤の拡充に巨額の投資を行ってきました。しかしながら、AIモデルの大規模化に伴い、インフラ整備にかかるコストは膨らむ一方です。

この状況を打開する可能性を秘めているのが、エッジAIです。エッジAIとは、スマートフォンやパソコンなど、ユーザーの手元にある端末で動作するAIを指します。高速なインターネット接続がなくても即座に応答が得られ、個人データも端末内に留まるため、プライバシー保護の観点からも注目されています。

現状では、端末の処理能力やメモリ容量の制約が課題とされている一方、半導体技術の進歩に伴い、この障壁は徐々に取り除かれています。また、特定の用途に特化した小型モデルの開発も進んでおり、エッジAIの実用化に向けた環境が整いつつあります。

エッジAIの普及は、スマートフォンやPC市場に新たな成長をもたらす可能性を秘めています。それと同時に、半導体メーカーにとっても大きなビジネスチャンスとなることでしょう。ただし、エッジAIが本格的に普及するかどうかは、魅力的なアプリケーションの登場にかかっています。クラウドAIと同様、ユーザーが対価を支払うほどの価値を見出せるサービスの開発が鍵です。AIの次なる革新は、モデルと端末の小型化にあるかもしれません。