- Alibaba Cloud傘下のアリババが2.4兆パラメータの新フラッグシップQwen3.8-Maxを公開。同社の発表によると、この規模でオープンウェイト化するのは初とされます
- Terminal Bench 2.1でClaude Fable 5、SWE-bench ProでGPT-5.6 Solを上回る一方、DeepSWE 1.1では両者に及ばないケースもあります
- API料金は100万トークンあたり入力2ドル・出力6ドル。来週には重みと中規模版Qwen3.8-27Bも公開予定です
2.4兆パラメータの新モデル
Alibaba Cloud傘下のアリババは8月3日、新しいAIモデルQwen3.8-Maxを正式にリリースしました。総パラメータ数は2.4兆に達し、同社のフラッグシップに位置づけられます。
同社の発表によると、この規模のモデルをオープンウェイト化するのはAlibaba Cloudにとって初めての取り組みだといいます。オープンウェイトとは、モデルの重み(学習で得られたパラメータ)を外部に公開し、誰でもダウンロードして利用できる形態を指します。
一方で、モデルが密結合型なのか複数の専門ネットワークを切り替えるMoE(Mixture of Experts)型なのか、コンテキストウィンドウの長さや対応言語数といった基本仕様は、現時点で公表されていません。この点は今後の技術資料の公開を待つ必要があります。
コーディング性能の実力
アリババは今回のモデルについて、一部の指標で米AnthropicのClaude Fable 5や米OpenAIのGPT-5.6 Solを超える性能をうたっています。具体的には、コーディング能力を測るベンチマークTerminal Bench 2.1でFable 5を上回り、実際のソフトウェア開発課題を解くSWE-bench ProではGPT-5.6 Solを超えたとしています。
ただし、すべての指標で優位というわけではありません。別のコーディング系ベンチマークDeepSWE 1.1では、Fable 5とGPT-5.6 Solのいずれにも及ばなかったと報じられています。得意分野と不得意分野がはっきり分かれている点は、実務で採用を検討する際に押さえておきたいところです。
なお、各ベンチマークの具体的なスコア値は公開資料からは確認できず、比較は相対的な優劣にとどまります。数値の裏付けが示されていないため、実運用での性能は自分の用途で検証することが望まれます。

図に示すように、Qwen3.8-Maxはベンチマークごとに順位が入れ替わります。単一の総合スコアだけで判断せず、目的のタスクに近い指標を見ることが重要です。
10日超の自律コーディング
アリババはデモとして、Qwen3.8-Maxが10日以上にわたって自律的にコーディング作業を続けることに成功したとアピールしました。長時間にわたり人手を介さずタスクを進められる点は、開発の自動化を狙ううえで実務的な意味を持ちます。
ただし、そのあいだに何を作り上げたのか、どのようなタスクを完遂したのかといった具体的な達成内容は明らかにされていません。デモの再現条件や中断・修正の有無も公表されておらず、達成の中身は今後の情報開示が待たれます。
このほか同社は、研究論文のブラッシュアップ、企業の法務タスク、Webデザインなど幅広い業務で実力を示したとしています。もっとも、これらが個別のデモとして実演されたのか、想定される用途を列挙したものなのかは判然としません。自律的にツールを操作するエージェント技術の流れは、同社の研究成果Qwen-UI-Agentとは?実機100台超で鍛えるGUI統合エージェントにも見て取れます。
提供方法とオープンウェイト化
Qwen3.8-Maxは、開発環境のQwen StudioやクラウドサービスのQwenCloudを通じて提供されます。API料金は100万トークンあたり入力2ドル、出力6ドルに設定されています。トークンは文章を処理する際の単位で、料金は処理量に応じて課金される仕組みです。
そして注目度が高いのが、来週に予定される重みの公開です。オープンウェイト化に合わせて、中規模モデルのQwen3.8-27Bも同時にリリースされる見込みです。ただし公開の正確な日付は予告されておらず、27Bのアーキテクチャや対応スペックといった詳細も現時点では公表されていません。
2.4兆パラメータ級のモデルを重みごと公開する動きは、中国発のモデルが西側の主力モデルに肉薄していることを象徴しています。オープンウェイト化が実現すれば、企業や研究者が自前の環境で大規模モデルを検証・改良できる余地が広がり、生成AIの選択肢はさらに多様になりそうです。