- OpenAIが2026年4月16日に公式リサーチブログでライフサイエンス特化の推論モデル「GPT-Rosalind」を発表。ChatGPT・Codex・APIで研究プレビューとして米国Enterprise顧客向けに提供開始
- LABBench2でGPT-5.4を11タスク中6タスクで上回り、Dyno Therapeuticsとの共同評価ではRNA配列予測タスクが人間専門家の95パーセンタイルを超える性能を記録
- 50以上の科学データベースに接続するLife Sciences Research Pluginを無償公開。研究プレビュー期間中はトークン消費なしで利用可能
GPT-Rosalindとは?
OpenAIは2026年4月16日、公式リサーチブログで生命科学分野に特化した推論モデル「GPT-Rosalind」を発表しました。生物学・創薬・トランスレーショナルメディシン(基礎研究から臨床応用への橋渡し領域)を支援するために構築されたフロンティア推論モデルであり、化学・タンパク質工学・ゲノミクスにまたがる科学的ワークフローに最適化されています。
モデル名はDNA二重らせん構造の解明に貢献した科学者、ロザリンド・フランクリンにちなんで命名されています。新薬が標的探索から規制当局の承認を得るまでに米国では平均10年から15年を要するという現状を踏まえ、OpenAIはその初期探索段階を効率化することを目標に掲げています。
科学ワークフロー向けの機能
GPT-Rosalindは分子・タンパク質・遺伝子・シグナル経路・疾患関連生物学にまたがる推論タスクで高い性能を発揮するよう設計されています。具体的には文献レビュー、配列-機能解釈(DNA・RNA・タンパク質の配列から機能を推定する解析)、実験計画、データ分析といった複数工程を含む科学的ワークフローを支援します。OpenAIは「研究者がより多くの可能性を探索し、見逃されがちな関連性を発見し、より良い仮説に早く到達できるよう支援する」と述べています。
同時に、無償公開されたLife Sciences Research Plugin for Codexも発表されました。GitHubで公開されているこのプラグインは50以上の公開マルチオミクスデータベース・文献ソース・生物学ツールへのアクセスを提供し、ヒト遺伝学・機能ゲノミクス・タンパク質構造・生化学・臨床エビデンスなど幅広い研究ワークフローに対応します。OpenAI Agents SDKの長時間タスク対応機能と組み合わせることで、複数ステップを含む科学的ワークフローの自動化がさらに進む可能性があるとOpenAIは説明しています。
ベンチマーク評価結果
OpenAIが公開した評価結果によると、GPT-Rosalindは複数のベンチマークで高い性能を示しています。実世界のバイオインフォマティクスとデータ解析を対象とした「BixBench」では、スコアを公表しているモデルの中でトップの性能を達成しました。
研究タスクの幅広い能力を測定する「LABBench2」(文献検索・データベースアクセス・配列操作・プロトコル設計などを含む全11タスク)では、GPT-5.4を11タスク中6タスクで上回りました。特に分子クローニングプロトコル用のDNAおよび酵素試薬を設計する「CloningQA」タスクで顕著な改善が見られたとされています。
さらにOpenAIは、遺伝子治療用AIを開発するDyno Therapeuticsと共同評価を実施しました。未公開・未汚染のRNA配列を用いた配列-機能予測・生成タスクにおいて、AI-bio分野の人間専門家57名の過去スコアと比較したところ、予測タスクで人間専門家の95パーセンタイル以上、生成タスクで84パーセンタイル周辺に位置することが確認されました。

パートナー企業と導入事例
OpenAIはAmgen・Moderna・Allen Institute・Thermo Fisher Scientific・Novo Nordisk・Oracle Health and Life Sciences・NVIDIA・Benchling・UCSFなどの医薬品・バイオテクノロジー・研究機関と連携してGPT-Rosalindの活用を進めています。また、戦略コンサルティング面ではMcKinsey & Company・BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)・Bain & Companyがアドバイザリーパートナーとして参画しています。
Amgenの人工知能・データ担当上級副社長ショーン・ブルーイッチ氏は「ライフサイエンス分野はあらゆる工程で高い精度が求められます。問いは非常に複雑で、データは高度に専門的であり、その影響は極めて大きい。OpenAIとの独自の協力関係により、最先端の能力とツールを革新的な方法で活用し、患者への薬の届け方を加速させられると考えています」とコメントしています。
アクセス方法と提供条件
GPT-Rosalindは現在、ChatGPT・Codex・APIにおける研究プレビューとして、申請審査を経た米国のEnterprise顧客を対象に提供されています。利用を希望する組織はOpenAI公式フォームからアクセス申請を行い、適格性審査と安全性審査を受ける必要があります。研究プレビュー期間中は、既存のクレジットまたはトークンを消費せずに利用できるとOpenAIは説明しています。
アクセス審査の基準として、OpenAIは「明確な公益をもたらす正当な科学研究の実施」「適切なガバナンス・コンプライアンス・悪用防止管理の維持」「安全に管理された環境内での承認済みユーザーへのアクセス制限」の3点を挙げています。生物兵器などへの悪用を防ぐための安全管理を重視した段階的な展開構造と説明されています。価格体系と提供地域の拡大については、プログラムの進展に合わせて追加情報を公表するとしています。
今後の展望
OpenAIはGPT-Rosalindをライフサイエンスモデルシリーズの第1弾と位置づけています。ロスアラモス国立研究所など国立研究所との連携を通じ、タンパク質や触媒のAI主導設計を探索する計画も明らかにされました。OpenAIは「研究者が問いから証拠へ、証拠から洞察へ、洞察から新たな治療法へと進む過程でますます有能なパートナーになれると期待している」と述べています。