- Groqは独自のLPU推論チップの開発から、Nvidia製GPUを運用するネオクラウド事業へ軸足を移し、3.5億ドルを調達しました
- 評価額は2025年9月の69億ドルから35億ドルへほぼ半減し、今回の調達にはNvidiaも加わる見通しです
- Nvidiaはライセンス契約を通じて創業者Jonathan Ross氏ら中核人材を引き抜いたとTechCrunchは報じています
Groqがネオクラウドへ転換
AI推論向けの半導体を手がけてきたGroqが、事業の方向性を大きく変えました。TechCrunchによると、同社は3.5億ドル(約525億円)のシリーズA資金を調達し、この資金を使って自社開発チップからネオクラウド事業への転換を進めます。
ネオクラウド(neocloud)とは、AI計算向けにGPUサーバーを大量に用意し、その処理能力を貸し出すことに特化した新興のクラウド事業者を指します。これまでGroqは、LPU(Language Processing Unit、言語処理ユニット)と呼ぶ推論専用のチップを武器に、Nvidiaに対抗する存在として知られてきました。
今回の転換により、同社は自前のチップではなくNvidia製GPUを運用してクラウドサービスを提供する側へと回ります。ライバルだったNvidiaの技術基盤に乗る形になった点が、この方針転換を象徴しています。
評価額はほぼ半減
今回の資金調達で示された評価額は35億ドルでした。2025年9月時点の69億ドルと比べると、およそ半分の水準まで下がっています。2026年6月には6.5億ドルを調達していたことを踏まえると、短い期間での評価額の低下は際立ちます。
ラウンドを主導したのは投資会社のDisruptiveで、Nvidiaも参加する見通しとされています。かつて競合と見なされたNvidiaが出資に加わる構図は、AIハードウェア業界の力関係の変化を映し出しています。

創業者の引き抜き
評価額が下がった背景には、中核人材の流出があります。TechCrunchによると、NvidiaはGroqの創業者兼CEOであるJonathan Ross氏をはじめとする主要な技術者を引き抜いたとされています。この人材の移動は、投資家に支払われた200億ドル規模のライセンス契約を通じて行われたと同メディアは報じています。
創業者と技術陣を失ったGroqにとって、自社チップ路線を続けることは難しくなりました。残された事業を立て直す手段として選ばれたのが、Nvidia GPUを運用するネオクラウドへの転換だったと考えられます。「私たちはGroqを世界をリードするAI推論クラウドへと育てる」と、DisruptiveのCEOで現在Groqの会長を務めるAlex Davis氏は述べています。
Nvidia一強とネオクラウド化
Groqは現在、北米、欧州、中東、アジア太平洋にまたがる13か所のデータセンターを運用し、600万を超える開発者や企業、AIネイティブ企業にサービスを提供しています。処理能力は現在の54メガワットから、2027年には200メガワット超へ拡大する計画です。
ネオクラウド市場では、CoreWeaveやLambda、NebiusといったNvidia GPUを基盤とする事業者がすでにしのぎを削っています。Nvidiaはこれら複数のネオクラウド事業者に出資しており、自社GPUの販路と需要を同時に押さえる立場にあります。大規模なクラウド契約が相次ぐ流れは、元Anthropic勢の新AIラボMirendilがGoogle Cloudと結んだ1億ドル契約など、AI業界の各所で広がっています。
独自チップでNvidiaに挑んだ有力企業が、最終的にNvidiaの基盤に乗るネオクラウドへ転じた今回の一件は、AIハードウェア分野におけるNvidia一強の構図を改めて浮き彫りにしました。推論チップの多様化を期待していた市場にとっては、選択肢が狭まる展開になったといえます。
