- Cognitionが対話AI「Poke」の開発元Interaction Companyを低い9桁(数百億円規模)の評価額で買収
- Pokeは友人のように話す対話AIで、直近3か月で1億回超のメッセージをやり取り
- Pokeの対話モデルと人格をコーディングAI「Devin」へ統合し、人格を新たな競争軸に据える狙い
Cognitionが買収した対話AI
コーディングエージェント「Devin」を開発するCognitionは、2026年7月24日、対話型AIアシスタント「Poke」を手がけるThe Interaction Company of Californiaを買収したと明らかにしました。買収額は正式に公表されていませんが、TechCrunchは「低い9桁(low nine figures)」、つまり日本円で数百億円規模の評価額だと報じています。
Cognitionの共同創業者であるScott Wu氏とWalden Yan氏は、もともとInteraction Companyの個人投資家(エンジェル投資家)でもありました。両社の間には買収前から資本のつながりがあったことになります。
Pokeとは何か
Pokeは2026年3月に公開された対話型AIアシスタントです。iMessageやSMS、Telegram、WhatsAppといった複数のメッセージアプリ上で動き、専用アプリを開かずに普段のチャット画面からそのまま使える点が特徴です。
対応するタスクは旅行の手配や健康管理、家計、予定調整、学習など幅広く、なかでもメール整理とタスク管理が主な用途となっています。2026年6月には、Appleの法人向けサービス「Messages for Business」で初めて承認されたAIエージェントになりました。
利用実績も伸びており、直近3か月で1億回を超えるメッセージがやり取りされ、数十万人が使っているとされます。一方で運用コストが高く、単体では利益を出しにくかったとも指摘されています。
人格が競争優位になる理由
この買収でCognitionが狙うのは、Pokeが持つ「人格」です。Pokeはスラングやユーモアを交えて友人のように話しかけてくる点が支持されており、機械的で無味乾燥な応答とは一線を画します。
Wu氏は「ただのロボットのような同僚より、人格のある同僚のほうが一緒に働きたいと思うはずだ」と語っています。AIの実力が基盤モデルの性能だけで決まる時代から、対話のスタイルや振る舞いそのものが価値になる時代への移行を示す発言といえます。

Devinへの統合計画
Cognitionは、Pokeの対話モデルと人格をコーディングエージェントDevinへ組み込む計画です。年内は大きな変更を行わず、2027年から実験的な改善を始め、将来的には両製品の完全統合も視野に入れているといいます。
現在のDevinは一度に1件のプルリクエスト(コード変更の提案)しか扱えないなど、機能面ではまだ発展途上です。Wu氏はDevinを「ソフトウェアではなく同僚のように感じられる存在」にしたいと述べており、人格の付与はそのための布石と位置づけられます。
AI開発の新たな競争軸
コーディング支援AIの分野では性能競争が激しく、たとえばMicrosoftがGitHub Copilotに自社モデルを投入してコード採用率を高めるなど、各社がモデルの精度で差別化を図ってきました。
今回のCognitionの動きは、その競争軸に「人格」という新しい要素を持ち込むものです。開発者が長時間向き合う相手だからこそ、話しやすさや親しみやすさが定着率を左右するという読みがあります。
ただし、親しみやすさと業務の正確さを両立できるかは未知数です。人格の演出が過剰になれば信頼性を損なう懸念もあり、統合が本格化する2027年以降の成果が問われることになります。
