- 中国Unitreeが開発中の新型ヒューマノイドのデモ動画を公開し、助走なしで高さ2m、走行で時速45.6kmという人間を超える身体能力を実測値として示しました。
- 走行の最高秒速12.66mはウサイン・ボルト選手の最高瞬間速度を上回り、同社の従来機H1と比べても4倍近い数値です。
- 開発開始から約3カ月での到達で、脚の長さは85cm、頭部を持たない構造です。詳しいスペックは非公開で、今後さらなる改善を見込むとしています。
公開されたデモの中身
2026年8月17日、中国のロボット企業Unitree Robotics(宇樹科技)が、開発中の新型ヒューマノイドロボットのデモ動画を公開しました。動画には、助走なしの状態から高さ2mまで跳び上がる様子や、直線を高速で走り抜ける様子が収められています。
同社はこれらの動きが人間の身体能力の限界を超える水準に達したとアピールしています。公開されたのは実機の映像で、モデル名や詳しいスペックは現時点で明らかにされていません。判明しているのは、脚の長さが85cm、頭部を持たない人型構造という点だけです。
人間を超えた数値
最も目を引くのは走行速度です。Unitreeによると最高で秒速12.66m、時速に換算すると約45.6kmに達したとしています。陸上短距離のウサイン・ボルト選手が100m走の世界記録を出した際の最高瞬間速度は約44.7km/hとされており、今回の数値はこれをわずかに上回る計算になります。
同社が2024年に「世界最速の等身大ヒューマノイド」として示した「H1」は秒速3.3m(時速約11.9km)でした。今回の新型機はその4倍近い速度で、1年あまりで数値を大きく伸ばしたことになります。
跳躍についても、助走なしで高さ2mという数値は、人間が立ち姿勢から到達できる高さを大きく超えます。脚が生み出す瞬発力と、それを制御するソフトウェアの両方が高い水準にあることを示すデモといえます。

開発3カ月での到達
Unitreeは、このロボットの開発を始めてから約3カ月しか経っていないと説明しています。短期間でこれだけの運動性能に到達できた背景には、同社が四足歩行ロボットや従来のヒューマノイドで積み上げてきた脚部の設計と制御技術の蓄積があると考えられます。
デモ動画という形での早期公開には、製品としての完成度を誇示するというより、開発の勢いを外部に示す狙いがあると見られます。ヒューマノイド市場ではTeslaやFigure、中国国内の競合各社が開発を加速させており、投資家や採用候補者に対して技術力をアピールする意味合いも大きいでしょう。同社は今後数カ月でさらに性能を高められる余地があるとしています。
物理世界で身体を動かすAI(フィジカルAI)の急速な進歩は、ロボットに限った話ではありません。NVIDIAが商用解禁した自動運転モデル「Alpamayo」のように、現実の環境を扱うAIは分野を横断して進化を続けています。
残された実用面の課題
一方で、今回のデモから読み取れる情報は限られています。バッテリーの駆動時間、この動きを連続して再現できるのか、実際の重量や耐久性、量産の見通しといった実用面の数値は公開されていません。デモは理想的な条件で撮影された可能性もあり、屋外の不整地や障害物のある環境で同じ性能を発揮できるかは未知数です。
想定される用途についても、具体的な言及はありません。高い走行や跳躍の性能を生かせる場面としては、物流倉庫での搬送、施設の警備や巡回、災害現場での捜索や救助などが考えられます。ただし、こうした現場では速さよりも動作の安定性や安全性、細かな作業をこなす能力が重視されます。派手な運動性能が実務にどう結び付くのかは、今後の追加情報を待つ必要があります。