- Docker DesktopとCLIに統合されたAIエージェント「Gordon」が2026年5月19日に正式公開。無料アカウントを含むすべてのDockerユーザーが対象
- 実行中のコンテナ・ログ・Composeファイルを自動取得し、GitHub CopilotなどのAIツールにはできないコンテナ固有の操作とデバッグに対応
- Docker Desktop 4.74以降で利用可能。CLIは
docker aiコマンドで起動し、すべての操作は実行前にユーザーの確認を求める安全設計
Gordon正式公開の背景
Docker社は2026年5月19日、コンテナワークフロー向けAIエージェント「Gordon」の一般提供(GA: Generally Available)を発表しました。Gordonは2023年10月に「Docker AI」としてその開発がスタートし、2025年2月にDocker Desktopへのベータ統合を経て、今回の正式リリースに至っています。
Docker Desktop 4.74以降ではサイドバーにGordonの専用タブが追加されます。コンテナ一覧画面でコンテナが異常終了した際にGordonを直接呼び出せるなど、作業の流れを止めずにAI支援を受けられる設計です。コマンドラインでは docker ai コマンドを任意のディレクトリで実行して起動でき、バックエンドはDocker社のサーバーで動作するためローカルのGPU環境は不要です。
汎用AIツールとの差別化
GordonがGitHub Copilot CLIやJetBrains AI Assistant、Cursorといったコーディング補助ツールと最も異なる点は、Docker環境全体を自動でコンテキストとして取得する仕組みです。汎用のAIコーディング補助ツールは、ユーザーがテキストとして貼り付けた範囲内でしか回答できません。これに対しGordonは、質問を受ける前から実行中のコンテナ状態・コンテナログ・Composeファイルの内容・イメージ一覧・作業ディレクトリを把握しています。
たとえばコンテナが突然停止した場面では、Gordonがその場でログを読み込み、環境変数の設定漏れやベースイメージの不整合、マウント設定の誤りを特定して修正案を提示します。「コンテナが落ち続ける原因を調べてほしい」と自然言語で伝えるだけで、原因の特定から修正コマンドの提案まで一貫して対応できます。IBMが提唱するAIオペレーティングモデルでも指摘されるように、AIエージェントが実際の環境コンテキストを保持することが実用的な支援の前提条件となっています。

主な対応機能
Gordonが対応するワークフローは幅広く、日常的なコンテナ運用から学習用途まで実用的な場面をカバーしています。
- コンテナログの解析と障害原因の特定・修正案の提示
- 既存コードからのDockerfileおよびComposeファイルの自動生成
- マルチステージビルドやレイヤー順序の最適化によるイメージ軽量化
- 未使用のイメージ・ボリューム・ネットワークのクリーンアップ
- バインドマウントと名前付きボリュームの違いなど、Docker概念の説明
コマンドオプションを都度調べる必要があった管理操作も、自然言語で指示するだけで実行できます。フラグや構文を記憶していなくてもよい点は、Dockerを使い始めたエンジニアにとって特に実用的です。
対応バージョンと料金プラン
Gordonの利用にはDocker Desktop 4.74以降へのアップデートが必要です。無料の「Docker Personal」アカウントを含むすべてのDockerアカウントで利用でき、クレジットカードの登録は不要です。無料枠の利用制限は数時間ごとにリセットされる仕組みになっています。
より多くの利用が必要な場合は、月額20ドルの「Gordon Plus」プランが用意されており、無料枠の2倍の利用枠を確保できます。アドオン形式のプランとして最大20倍枠まで段階的に拡張でき、既存のPersonalやPro、Team、Businessといずれのアカウントにも追加できます。
安全性とプライバシー
Gordonがコンテナ操作・ファイル変更・コマンド実行などのアクションを取る際は、必ず実行前にユーザーへの確認画面を表示します。セッションをまたいでパーミッションが引き継がれることはなく、毎回リセットされる設計です。信頼できるワークフローでは自動承認の設定も可能です。
プライバシー面では、コードや個人データはDocker社のサーバーに保存されず、AIプロバイダー側でのデータ保持もないとされています。セキュリティ認証としてSOC 2 Type 2とISO 27001を取得しており、企業での利用を意識した体制が整えられています。
