- Replitの共同創業者兼CEOであるAmjad Masadが、TechCrunch Disruptの登壇でAnthropicとの協業を終えたと発言した
- Replit AgentのデフォルトはOpenAIのモデルに変更され、Claudeなどは利用者が明示的に選ぶ形になった
- Anthropic関係者は提携が継続していると反論しており、エンタープライズ比率は2%から15%へ拡大している
Disruptでの発言内容
AIコーディングプラットフォームを提供するReplitの共同創業者兼CEOであるAmjad Masadが、TechCrunch Disruptの舞台でAnthropicとの協業を終えたと述べました。TechCrunchの記事は10月16日午後2時22分(太平洋時間)に公開され、その後に文脈とタイトルが更新されています。
登壇後、Masadはより正確な説明を加えました。現在のデフォルトモデルはOpenAIのものであり、利用者はAnthropicのClaudeやその他の対応モデルを選択できる状態が残っているというものです。同氏はOpenAIをReplit Agentを動かす「preferred partner(優先パートナー)」と表現しました。
Replitは8月にOpenAIとの提携を発表していましたが、それ以前にAnthropicとの関係が終わる兆候は示されていませんでした。デフォルト変更は表面的には小さな設定の違いに見えますが、大半の利用者がデフォルトを変えないため、実際の推論リクエストの配分は大きく動きます。

図1のように、デフォルト経路と明示的な選択経路では通る先が分かれます。課金が発生するのは実際に呼び出されたモデルの提供元であるため、デフォルトの位置が売上の流れをほぼ決める構造になっています。
コストと性能を理由に挙げる
Masadが切替の理由として挙げたのは、コスト、パートナーシップの内容、そして性能の3点です。性能についてはOpenAIのモデルが「better now(今は優れている)」と述べ、同社が内部ベンチマークと公開ベンチマークの両方を使って評価していると説明しました。
特に差が出たのは、いわゆるvibe codingでアプリケーションをゼロから作り上げる場面だとしています。Masadが名前を挙げたOpenAIの「Sol」と「Astra」が、この用途でより良い結果を出すという評価です。既存コードの修正ではなく新規生成に重心を置いた比較であり、コーディングエージェントの評価軸が単一の指標では決まらないことを示しています。
コーディングエージェントの実務効果については検証も進んでおり、Microsoftが数万人でClaude Codeを検証、マージPRが平均24%増のような大規模な社内調査も公開されています。どのモデルを採用するかの判断は、ベンチマークスコアだけでなく運用コストと実際の開発成果の両方に左右されます。
Anthropic側は提携継続と反論
Masadの説明に対し、両社の関係を知る匿名の関係者はこれを否定しました。ある関係者は提携は今も有効だと述べています。TechCrunchはAnthropicからの公式見解を得られていません。
記事は、Replitが数週間前までAnthropic製品を宣伝していた形跡も挙げています。9月下旬のReplitのブログ記事ではClaude Fable 5とClaude Fable 5.1がReplit Agentの本番環境で動いているモデルとして名指しされ、ほぼ同時期にReplitのプロダクト担当者がAnthropicの主力モデルであるOpus 5.5の利用についてXに投稿していました。
Masadによれば、Anthropicにとって最近までReplitは上位5社に入る顧客でした。Replitは以前はClaudeを基盤に動いており、外部の報道によればこの提携が同社の売上成長に大きく寄与したとされています。デフォルトが外れれば、ReplitがAnthropicに支払う金額は大幅に減る可能性があります。
エンタープライズ比率が15%へ
Replit自身の事業構成も変化しています。昨年は売上の約2%にすぎなかったエンタープライズ契約が、今年は約15%を占めるようになりました。売上の50%超はB2Bで、MasadはARR(年間経常収益)の具体的な数値の公開は避けています。
項目 | 比率 |
|---|---|
エンタープライズ契約(昨年) | 約2% |
エンタープライズ契約(今年) | 約15% |
B2B売上 | 50%超 |
Masadは舞台裏で、2027年にはReplitの売上の半分以上がエンタープライズと政府機関の顧客から得られると予測しました。個人開発者向けのサービスから法人向けへ軸足を移す流れが、コスト重視のモデル選定とも結びついていると考えられます。
安全な稼働環境の必要性
Masadは同じ登壇で、AIエージェントを適切な環境を必要とする働き手にたとえました。同氏がhabitat(生息環境)と呼ぶその環境には、強固なオーケストレーション、エラーからの復旧、安全性とセキュリティ、サンドボックス化、ネットワーク、そしてIDと認可の制御が必要だと述べています。
これらが整う前にAIを本番環境へ展開するのは危険だという主張です。モデルの選択は開発プラットフォームの競争力を左右する要素のひとつですが、エージェントを法人環境で動かすには、モデルの外側にある実行基盤の整備が同時に求められます。
