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Perplexity、複数AIモデルを同時実行する「Model Council」を発表 — ハルシネーション低減の新アプローチ

Perplexity、複数AIモデルを同時実行する「Model Council」を発表 — ハルシネーション低減の新アプローチ
  • PerplexityがClaude Opus 4.6・GPT-5.2・Gemini 3.0を同時実行し回答を統合する「Model Council」機能をリリース
  • 複数モデルの出力を合成モデルが比較・矛盾解消し、ハルシネーションを低減する「マルチモデル合議」方式を採用
  • 投資判断や医療情報など正確性が求められるユースケースを想定し、Proプランで利用可能

Model Councilとは何か

AI検索エンジンを手がけるPerplexityは2025年2月5日、複数の大規模言語モデル(LLM)を同時に実行して回答の精度を高める新機能「Model Council」を発表しました。この機能では、Claude Opus 4.6、GPT-5.2、Gemini 3.0といった主要なAIモデルに対して同一のクエリを並列で送信し、それぞれの回答を合成モデルが統合して単一の検証済み回答を生成します。

従来のAI検索では、1つのモデルが単独で回答を生成するため、そのモデル固有のバイアスや知識の欠落がそのまま出力に反映されていました。Model Councilはこの課題に対し、「合議制」というアプローチで回答の信頼性を高めようとするものです。

マルチモデル合議の仕組み

Model Councilの動作は大きく3つのステップに分かれます。まず、ユーザーのクエリが複数のLLMに同時送信されます。次に、各モデルが独立して回答を生成し、それぞれの出力が合成エンジンに渡されます。最後に、合成モデルが各回答の一致点と矛盾点を分析し、根拠の強い情報を優先して1つの統合回答にまとめます。

図1: Model Councilのアーキテクチャ概要
図1: Model Councilのアーキテクチャ概要

この仕組みにおいて重要なのは、各モデルが独立して推論を行う点です。モデル同士が互いの出力を参照しないため、1つのモデルの誤りが他のモデルに伝播することはありません。合成モデルは複数の独立した「意見」を比較検討できるため、特定のモデルだけが主張する情報を誤りの可能性が高いと判定し、複数モデルが一致する情報を信頼性が高いと評価できます。

ハルシネーション低減のメカニズム

AIのハルシネーション(事実に基づかない情報の生成)は、LLMの実用化における最大の課題の一つです。Model Councilが採用するマルチモデル合議方式は、この問題に対して統計的な冗長性を活用した解決策を提供します。

たとえば、あるモデルが存在しない論文を引用した場合でも、他の2つのモデルがその論文に言及しなければ、合成モデルはその情報を除外する判断が可能になります。単一モデルでは検出が困難な誤りも、複数の視点を組み合わせることで発見しやすくなるという考え方です。

図2: 従来の単一モデル方式とModel Council方式の比較
図2: 従来の単一モデル方式とModel Council方式の比較

ただし、すべてのモデルが同じ誤りを犯す場合にはこの手法でも検出は困難であり、万能な解決策ではない点には留意が必要です。とはいえ、異なる学習データとアーキテクチャを持つモデルが同一の誤りを生成する確率は、単一モデルが誤る確率よりも低いと考えられます。

想定されるユースケースと意義

Model Councilが特に威力を発揮するのは、回答の正確性が重視される場面です。投資判断のためのリサーチ、医療・法律に関する情報収集、学術論文のファクトチェックなど、誤った情報が深刻な影響を及ぼしうるケースが想定されます。

技術的な観点からも、この機能は注目に値します。複数モデルを同時に呼び出すマルチモデルアーキテクチャは研究レベルでは以前から議論されてきましたが、消費者向け製品として本格的に実装された例はほとんどありませんでした。Perplexityがこれを商用サービスとして提供したことで、マルチモデル統合が実用段階に入ったと言えるでしょう。

開発者にとっては、マルチモデルオーケストレーションの設計パターンとしても参考になります。レイテンシの管理、コストの最適化、合成ロジックの設計など、実装上の課題をPerplexityがどのように解決しているかは、同様のアーキテクチャを検討する際の指針となり得ます。

課題と今後の展望

一方で、複数モデルを同時実行するアプローチにはコスト面での課題があります。単純計算で推論コストは3倍以上になるため、すべてのクエリに適用するのは現実的ではなく、高精度が求められるクエリに限定して使用する設計が合理的です。

また、合成モデルの品質がシステム全体の性能を左右するという点も重要です。個々のモデルの出力がいかに優秀でも、合成の過程で情報が欠落したり歪められたりすれば、期待される精度向上は実現しません。合成アルゴリズムの継続的な改善が、Model Councilの成否を握る鍵となるでしょう。

AI業界全体の流れとして、単一モデルの性能向上だけでなく、複数モデルの協調による品質改善という方向性が明確になりつつあります。Model Councilはその潮流を象徴するプロダクトとして、今後の動向が注目されます。

参考元 https://www.perplexity.ai/hub/blog/introducing-model-council

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