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ゴールドマン・サックス、AnthropicのClaude AIを会計・コンプライアンス業務に本格導入

ゴールドマン・サックス、AnthropicのClaude AIを会計・コンプライアンス業務に本格導入
  • ゴールドマン・サックスがAnthropicのエンジニアを6ヶ月間社内に常駐させ、会計・コンプライアンス向けAIエージェントを共同開発
  • クライアントのオンボーディング時間を30%短縮し、開発者の生産性は20%以上向上
  • 規制の厳しい金融業界におけるAIエージェント実用化の先駆的事例として業界全体に波及する可能性

Anthropicエンジニアが6ヶ月間常駐する異例の協業体制

世界最大級の投資銀行ゴールドマン・サックスが、AI企業Anthropicと深い協業関係を構築していることが明らかになりました。通常のSaaS導入とは異なり、Anthropicのエンジニアチームがゴールドマン・サックスのオフィスに約6ヶ月間常駐し、同社の業務プロセスに最適化されたAIエージェントを共同で開発するという異例の取り組みが進行しています。

この協業で開発されているのは、取引の会計処理やクライアントの審査・オンボーディング(新規顧客の受け入れ手続き)を自動化するAIエージェントです。金融機関のバックオフィス業務は、規制対応や正確性の要求が極めて高く、従来は大量の人手に依存していた領域でした。AnthropicのClaude AIを活用することで、こうした業務の効率化と品質向上の両立を目指しています。

オンボーディング時間30%短縮という具体的成果

すでに報告されている成果は注目に値します。クライアントのオンボーディングプロセスでは、所要時間が30%短縮されたとされています。金融機関における顧客オンボーディングは、KYC(Know Your Customer、本人確認)やAML(Anti-Money Laundering、マネーロンダリング防止)といった規制要件に基づく審査が必要であり、従来は数日から数週間を要する煩雑なプロセスでした。

AIエージェントがこれらの審査書類の確認や情報の照合を自動化することで、担当者はより判断が必要な業務に集中できるようになります。また、開発者の生産性は20%以上向上したと報告されており、社内のソフトウェア開発やシステム構築においてもClaude AIが活用されていることがうかがえます。

図1: ゴールドマン・サックスにおけるAIエージェント統合の概念図
図1: ゴールドマン・サックスにおけるAIエージェント統合の概念図

ウォール街全体への波及効果

金融業界は個人情報や取引データの取り扱いに関して厳格な規制が敷かれており、AIの導入には慎重な姿勢が求められます。ゴールドマン・サックスのような大手金融機関がAnthropicと組んでAIエージェントの実用化に踏み切ったことは、業界全体に大きな影響を与える可能性があります。

競合するJPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーといった大手銀行も、生成AIの業務活用を積極的に進めていますが、AIエンジニアを社内に常駐させて専用のエージェントを共同開発するという手法は、単なるAPIの利用を超えた深い技術統合を意味しています。この協業モデルが成功すれば、金融機関とAI企業の関係性そのものが変わる可能性があるでしょう。

バックオフィス変革がもたらす意味

今回の取り組みが興味深いのは、AIが華やかなトレーディングや投資判断ではなく、会計処理やコンプライアンスといった「バックオフィス」業務に投入されている点です。これらの業務は正確性と一貫性が求められる反復的な作業が多く、AIエージェントの強みが発揮されやすい領域といえます。

金融業界のバックオフィスは数万人規模の人員を抱えるコストセンターであり、AI による自動化が進めば、業界全体で大幅なコスト削減が実現する可能性があります。一方で、既存の従業員への影響や、AIが判断を誤った場合の責任の所在といった課題も今後議論される必要があるでしょう。ゴールドマン・サックスとAnthropicの協業は、こうした課題への対処法を含め、金融業界におけるAI活用のモデルケースとなりそうです。

参考元 https://www.cnbc.com/2026/02/06/anthropic-goldman-sachs-ai-model-accounting.html

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